近代建築に使用されている油性塗料

近代建築に使用されている油性塗料 page 63/74

電子ブックを開く

このページは 近代建築に使用されている油性塗料 の電子ブックに掲載されている63ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
近代建築に使用されている油性塗料

塗装技術の歴史 (開発、原料、性質、反応、及び油性塗料とアルキド樹脂塗料の同定)  61る。なぜならば、不飽和カルボン酸には、分子間をつなぐ役目を果たす第3の官能基が含まれるためである。したがって、多価不飽和脂肪酸が存在する場合にのみ網目構造が形成され、形成された塗膜は硬く、溶剤に不溶となる。アルキド樹脂の組成が、ほぼ飽和状態の飽和カルボン酸または一価不飽和カルボン酸を含む場合には、網目は形成されず塗膜は物理的にのみ固まるのである。ポリエステル樹脂二塩基酸と二価アルコールの反応によって形成された不飽和結合を持つ分子は、自身で重合することがある。このような例の1つにマレイン酸がある。この二塩基酸は二重結合を含むゆえに、3つの官能基を持つこととなる。縮合反応によってポリエステル連鎖が形成された後、ラジカル反応によって二重結合と他の二重結合が重合することがある。この場合の最も典型的な反応物質はスチレンである。反応は、何らかのラジカル、または熱や光を加えることで始まる。こうしてポリエステル連鎖が結ばれ、硬く、時には硬くもろい素材ができる。これは、繊維強化樹脂としてよく使われる。また、スチレンはポリエステル分子の溶剤でもある。同じ目的に使われる分子には、フタル酸ジアリルもある。マレイン化油性塗料α、β位の不飽和酸は不飽和脂肪酸の二重結合と結合するので、マレイン酸が天然油に付加反応することもある。これは、この反応の際にディールス-アルダー生成物を発生しやすい共役二重結合を持つ酸類において共通する。そして、驚くべきことにマレイン酸は、孤立二重結合を持つ脂肪酸とも反応する。2つのマレイン酸分子が1つの脂肪酸分子と反応する。後にマ図6 乾性油と無水マレイン酸の反応CH3(CH3)4CH = CH─CH2─CH = CH─(CH2)7COOR + CH=CHCH3(CH3)4CH = CH─CH = CH─CH─(CH2)7COORCH3(CH3)4CH CH─CH─(CH2)7COORCOOCOCOCH─CH2OCOCOCH─CH2OCOCOOCOCH = CHCH─CH(a)(b)(c)