近代建築に使用されている油性塗料

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概要:
近代建築に使用されている油性塗料

塗装技術の歴史 (開発、原料、性質、反応、及び油性塗料とアルキド樹脂塗料の同定)  57─CH2─C*H─CH=CH─CH=CH─CH2─ (3b)─CH2─CH=CH─CH=CH─C*H─CH2─ . (3c)この特質をメソメリズムという。メソメリズム構造にあるアスタリスクのついた炭素分子は非常に高い反応点を示す。これら3つのメソメリズム構造は独立した分子としては存在しないが、3つの異なる生成物をつくることは可能である。次の段階で起こるのは、空気中の酸素との反応である。これによって、過酸化物ラジカルが生成される。─CH2─CH=CH─CH─CH=CH─CH2─ (4a)            ─           OO*─CH2─CH─CH=CH─CH=CH─CH2─ (4b)─OO*─CH2─CH=CH─CH=CH─CH─CH2─ . (4c)─OO*非常に反応性が高いこの過酸化物ラジカルは、別の脂肪酸から水素原子を引き抜く。この反応連鎖が繰り返され、ヒドロペルオキシドが生成される。─CH2─CH=CH─CH─CH=CH─CH2─ (5a)─OOH─CH2─CH─CH=CH─CH=CH─CH2─ (5b)─OOH─CH2─CH=CH─CH=CH─CH─CH2─ (5c)─OOHこれら3つの過酸化物ラジカル(及び3つのヒドロペルオキシド生成物)は、異なる分子であり異性体である。ヒドロペルオキシドは非常に不安定であり、2つの酸素原子の間でたやすく開裂が起き、アルコキシラジカルとヒドロキシルラジカルが生成される。ROOH → RO* + *OH . (6)Rはトリグルセリドに結合している脂肪酸を示す。連鎖反応の中で形成されるすべてのラジカルは、他の脂肪酸の二重結合に付加することもある。─CH2─CH=CH─CH2─CH=CH─CH2─+RO*→─CH2─CH─C*H─CH2─CH=CH─CH2─ (7)─ORこの連鎖反応の末端は、(反応式2にて表されるように)別の脂肪酸から水素を引き抜いている。これにより、またすぐに新しい連鎖が開始される。一連の反応により、-C-O-C-架橋が形成され、二つの脂肪酸が結合される。第一段階(反応式2を参照)のラジカルが酸化することなく二重結合に付加されると、-C-C-架橋が形成される。─CH2─CH=CH─CH2─CH=CH─CH2─ + R* →─CH2─CH─C*H─CH2─CH=CH─CH2─ (8)─R通常、連鎖反応は二量体形成(または三量体形成)後に終わるが、いずれにしても複雑な網目構造が形成される。これは、どの油の分子もこのような反応に関与し得る3つの脂肪酸を持つためである(図3)。共役二重結合の重合桐油(とオイチシカ油)の乾燥工程は、油に含まれる脂肪酸が共役二重結合を持つため、多少異なる。桐油は単独で熱を加えるとゲル化する傾向がある。表面塗装に用いると、その乾燥が早すぎるため、表面にしわを生じさせ透明感のない塗膜となる。