近代建築に使用されている油性塗料

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近代建築に使用されている油性塗料

塗装技術の歴史 (開発、原料、性質、反応、及び油性塗料とアルキド樹脂塗料の同定)  55子鎖には、2つかそれ以上(6つまで)の二重結合がみられる。これらの二重結合は、塗膜形成にとって必要不可欠なものである。脂肪酸の約95%は三価エステルから成るため、二重結合は油の化学的性質に深く関与することがうかがわれる(図2、表3)。ココア・バター、ラードや獣脂といった三価エステルは、飽和脂肪酸のみを含み、室温では固体である。これは、分子鎖構造が密であるため、ファンデル・ワールス力が分子間において強く働くからである。天然油に含まれるすべての(もしくは、ほとんどすべての)不飽和脂肪酸はシス異性体であり、ねじれた分子構造を持っている。それゆえに、個々の分子間には隙間があり、分子同士の結合が緩やかなために油は液体状態となる。オリーヴ油(一価不飽和オレイン酸含有率75%)のように、主に一価不飽和酸からなる油は乾性油ではない。酸の分子鎖に二重結合を2つ有する油は、(ゆっくりと)乾燥し膜を形成するが、その膜はしばしば摩耗、風化や溶剤溶出を生じるのである。脂肪酸の分子鎖に3つ、またはそれ以上の二ステアリン酸OOHオレイン酸COOHH3C9リノール酸COOHH3C表3 天然脂肪と油の中の脂肪酸の構成(%)脂肪酸油8:010:012:014:016:018:018:118:218:3カプリルカプリンラウリンミリスチンパルミチンステアリンオレインリノールリノレン他オリーヴ8-18152-556-82755-20100, 3-1ひまわり5-664-6417-503040-7560微量芥子5-102-310-301560-75705胡桃3-70,5-310-3055-75亜麻仁6-753-6415-252215-201750-6052紅花3-651-4213-212070-7975綿実<217-30201-4213-453533-6045<2グレープシード8-103-510-2065-70麻実6-72-312-1755-6515-20荏油7213-23176-161263-7065桐油(アブラギリ)324-10118-1510360-8675ひまし油1-21-22-94-785-9287ラード(豚)1-220-3013-1640-458-100,5-2獣脂(牛)2-323-3015-3040-501-3<1獣脂(羊)52530301,5<1牛乳1-2, 52-32-39-1120-3010-1525-301-2, 51-2, 5縦列の見出しの比の前項は炭素数、後項は二重結合数を表す。表中の太字数字は、標準的値(平均)である。