近代建築に使用されている油性塗料

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近代建築に使用されている油性塗料

塗装技術の歴史 (開発、原料、性質、反応、及び油性塗料とアルキド樹脂塗料の同定)  53成分は、繊維生産にて原料とされる植物の亜麻から得られる亜麻仁油である。このほかにもいくつかの油が使用されるが、その多くは植物油である。しかし、魚油や場合によっては哺乳類の脂肪が用いられることもある。これらの油は、数日間の膜形成能力の程度によって不乾性油、半乾性油と乾性油に分類される。塗装の分野において最も重要なものは乾性油である。半乾性油は主に乾性油と混ぜて使用され、不乾性油は変性させることによって、塗膜の軟化剤として使用される。アルキド構造形成に使用される亜麻仁油以外の乾性)油には、大豆油、桐油(アブラギリ)、ひまわり油、紅花油、胡桃油、芥子油、荏油、オイチシカ油、リシニン油(脱水ひまし油、 2つの二重結合を持つため、すぐれた乾性油である)がある。また、重要度は低くなるが、綿実油、ぶどう種子油、パーム核油、ココナッツ油やひまし油もある。不乾性油の重要性は高くないため、塗料技術者の世界では、すべての多価不飽和油を4種類 ─(1)リノール酸油、(2)リノレン酸油、(3)共役油、(4)その他の油 ─ に分類している。(1)から(3)の名称は、それぞれ天然油の主成分である脂肪酸、もしくはその化学構造に由来する。表2から判るように、ほとんどの乾性油は少なくとも2つの二重結合を持つ脂肪酸を含むため、(2)か(3)に分類される(表2)。リノール酸油は様々な原料から製造される。これらの油のリノール酸含有率は30?75%である。リノール酸油は、重合作用によって乾燥塗膜を形成するため、半乾性油に分類される。しかし、この膜は完全には硬化せず(網目構造を形成しない)、溶剤に対して耐性が低い。アルキド樹脂を添加することでのみ、架橋結合による膜形成が可能となる。塗装材料の製造において最も重要なリノール酸油は大豆油である。種類は少ないが、リノレン酸油は塗料製造産業では非常に大切な原材料である。どの国でも用いられるものは、亜麻仁油と荏油だけである。自然界で発生するすべての共役結合を持つ油は、3つの共役二重結合を持つ酸を多く含んでいる。脱水ひまし油(リシニン油)にも共役二重結合がみられる。この油類では、桐油とオイチシカ油が最も重要である。その他の油類にて最も重要なのは、ひまし油である。不乾性油であるが、不乾性アルキド樹脂の軟化剤として使用される。さらに、脱水処理により乾性油に変質させることができる。乾性となったひまし油は、2つの共役二重結合を持つ脱水ひまし油となる。いくつかの乾性油、特に亜麻仁油、桐油、大豆油と脱水ひまし油は、真空状態で加熱し増粘することができる。これは、二重結合構造が部分的に異性化(二重結合が共役二重結合に変化)し、二量体酸が形成され重合反応が起こる表2 天然油の分類乾性油半乾性油不乾性油亜麻仁油(2)芥子油(1)オリーヴ油桐油(アブラギリ)(3)胡桃油(1)ひまし油(4)荏油(2)ひまわり油(1)落花生油(1)オクミ油大豆油(1)ハシバミ油サッチャ・インチ(インカ・インチ)油とうもろこし油(1)パーム油オイチシカ油(3)ニワトコ油菜種油(4)カマラ(クスノハガシワ)油トウヒ油ココナッツ油(4)松の実油扁桃油魚油(4)麻実油(1)パーム核脂(油)ぶどう種子油(1)胡麻油紅花油(1)綿実油(1)獣脂タバコ種油(1)ニガー種油(1)(1)リノール酸油(2)リノレン酸油(3)共役油(4)その他の油