近代建築に使用されている油性塗料

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近代建築に使用されている油性塗料

52れた。重合芳香族構造を持ち、黄色変化する傾向があったが、非常に高い安定性が利点とされ、主に特殊目的塗料として使用されたのである。今日では塗料としてではなく、主に接着剤として使用されている。前述したように、スミスが1901年にグリプタル樹脂を開発した。しかし、このグリセリンとフタル酸の化学反応による生成物は、耐久性が低く、室内用塗料としての使用のみに適していた。そして、1927年にはキーンリが脂肪酸を用いてグリプタル樹脂を改質し、今日でも塗料の分野で使用されている最も重要な合成樹脂を開発した。これがアルキド樹脂であり塗装においては、バインダーとして単独でも、乾性油と混ぜても使用できる。さらに、ニトロセルロースと混合して使うこともできる。ポリエステル樹脂は、アルキド樹脂と同時期に市場に現れた。これはアルキド樹脂と非常に似ているが、マレイン酸やフマル酸などの不飽和二塩基酸と多価アルコールを含むものである。したがって、塗料として塗布されると、ある特定の長さの連鎖のポリエステルが形成され、不飽和化合物(たとえば、ポリエステルの溶剤ともなるスチレン)と共に硬化される。第二次世界大戦後、ポリウレタンが入手可能になると、この新しい重合体とアルキド樹脂の化合により油変性ポリウレタン樹脂が誕生した。これは耐候性塗料として鉄道車両や船舶にとって非常に有益な塗料となった(表1)。その他の樹脂乾性油やアルキド樹脂の他にも様々なバインダーが、塗装の目的のために開発された。金属製品の透明保護塗膜(クリアラッカー)としてのニトロセルロースは、すでに述べた通りであるが、1920年代には自動車の大量生産に適した顔料配合塗料として改良された。その他のセルロースエステル類も同様であり、特に酢酸セルロースは、第一次世界大戦中に航空機のドープ塗料として使われた。1920年代と1930年代、酢酸ビニル樹脂、ポリアクリルレートやポリスチレンなどの多くのビニル系塗料が開発された。同時期には、尿素系やメラミン系の塗料が市場に現れ、それらは主に加熱硬化型塗料として使われた。第二次世界大戦後、ポリウレタン、エポキシ、ポリアミドやいくつかの新しいエステル類が、塗料メーカーの製品成分リストに加わることとなる。また、1950年代には水性塗料材料が多く開発され、後に溶剤を含まない粉末塗料も現れた。油性塗料とアルキド樹脂に含まれる油油性塗料とアルキド樹脂に用いられる主な油表1 合成樹脂とその導入時期導入時期合成樹脂1890/1920クマロン?インデン樹脂1890ロジン・エステル1901グリプタル樹脂1907フェノール樹脂(系)塗料1908酢酸セルロース1909変性フェノール1917/1928ビニル(系)重合体(ポリマー)1920年代ニトロセルロース(系)塗料1927アルキド樹脂(系)塗料1920年代後半ポリエステル樹脂(不飽和)1930/1932塩化ゴム(系)塗料1930年代尿素樹脂(系)塗料1930年代アクリル樹脂(系)塗料1947マレイン化油類1948変性スチレン油類1949ポリウレタン樹脂(系)塗料1950エポキシ樹脂(系)塗料