近代建築に使用されている油性塗料

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近代建築に使用されている油性塗料

42製鉄所が建設された。横須賀製鉄所の工事関係の記録によると、煉瓦積みトラス構造をした大規模な工場棟で、メートル法が採用され、施工は材料支給の各職方による手間請負で行われたとある。しかし、残念ながら塗装工事に関する記述は見出せない。工事の指揮を執った首長ヴェルニー(Francois L. Verny)が提出した図面には、「船棟梁詰所」、「塗師所」、「端船製造所」の3棟が記載され、塗師所は98坪に及ぶ木造の塗料製造工場であった。この我が国最初の塗料製造工場は、その後、明治政府に引き継がれ、明治10年代(1877?1886)には年産100tの塗料を生産していたといわれるが、海軍用や船舶用の塗料が主であったようである。雄藩の中でも、いち早く工業化を進めた薩摩藩では、島津家磯別邸内にイギリス人技術者を招いて石造りの機械工場を建設している。現在に残る尚しょう古こ 集しゅう成せい館かん(旧集成館機械工場)は、文久3年(1863)の薩英戦争で破壊されたものを慶応元年(1865)に再興したものである(写真1)。更に薩摩藩では、鹿児島紡績所も建設している。現存する異人館(旧鹿児島紡績所技師館)は英人技師の宿舎及び集会所として建てられたもので、この建築様式は明治4年(1871)写真2 異人館(旧鹿児島紡績所技師館)(慶応3年竣工)写真1 尚古集成館(旧集成館機械工場)(慶応元年再興)