近代建築に使用されている油性塗料

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近代建築に使用されている油性塗料

近代建築に使用されている油性塗料について  9分析法(IR)を用いて分析した。図1に分析結果を示す。1540㎝-1及び1400 ㎝-1付近に吸収のピークが見られ、これは油性塗料の油が顔料等に含まれていたと思われる金属塩と結合してできた金属石けんと呼ばれる物質に変化していると思われる。よって、オリジナルかどうかは判然としないが油性塗料が塗布されていた可能性は非常に高い。4-2.日本赤十字社中央病院病棟(登録有形文化財)写真8に欄間からの剥離片を、写真9に鎧戸からの剥離片を示す。今回はこれらの試料を用いて赤外分光分析法(IR)を用いて分析した。図2に欄間の外側の剥離片の分析結果を、図3に欄間の内側の剥離片の分析結果を、また図4に鎧戸の剥離片の分析結果を示す。今回の分析に使用した試料が塗装膜ごとに分かれた試料ではなかったために結果として膜ごとの分析結果を得られたとは言い難く、判断できる結果ではなかった。4-3.旧睦沢学校校舎(重要文化財)写真10に示す扉からの剥離片に関して、赤外分光分析法(IR)を用いて分析が行われた。図5及び図6に分析結果を示す。双方とも炭酸カルシウム(CaCO3)の吸収が強く見られる。これは恐らく体質顔料の吸収と思われる。残念ながら油性塗料が劣化したものと思われる吸収は確認されない。写真6 旧睦沢学校校舎 ?公益財団法人 文化財建造物保存技術協会/青柳茂(撮影)